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実運用で理解する Databricks:ECサイト日次データ基盤の例
「機能名だけ聞いてもピンとこない」を解消するため、架空のECサイトの日次データ基盤を題材に、各機能が実際の運用で何をして、どう連携するかを図解します。 図は Mermaid 記法。VSCode の Markdown プレビュー(
Cmd+Shift+V)や GitHub で図として表示されます。 機能単体の説明は databricks-overview.md を参照。
想定シナリオ
「ECサイト A社」 が、毎晩バッチで前日の売上を集計し、朝までにダッシュボードとレコメンドAIを最新化する、という運用を考えます。
- データソース:注文DB(PostgreSQL)/Web・アプリのイベントログ(JSONファイル)/在庫マスタ(CSV)
- やりたいこと:毎晩02:00に自動でデータを取り込み→整形→集計し、朝には経営ダッシュボードとレコメンドモデルが最新になっている
- 求められること:品質保証(不良データを止める)、権限管理、障害時にすぐ気づいて直せる
0. 登場する機能マップ(役割を先に掴む)
| 機能 | 運用での役割 | このECシナリオでの「担当」 |
|---|---|---|
| Auto Loader / Lakeflow Connect | データの取り込み口 | ソースを毎晩取り込む「受付」 |
| Delta Lake | データの保存(永続化) | Bronze/Silver/Gold を置く「倉庫の棚」 |
| Lakeflow 宣言型パイプライン | 変換・品質チェック | 生データを整形・集計する「工場ライン」 |
| Lakeflow Jobs | オーケストレーション | 「毎晩2時に工場を動かす」現場監督 |
| コンピュート(+ Photon) | 実行エンジン | 実際に処理する「機械・人手」 |
| Unity Catalog | ガバナンス | 「誰が何を触れるか」の管理室+監視カメラ |
| Databricks SQL / AI-BI / Genie | 分析・BI | 経営・現場が見る「ダッシュボード」 |
| Mosaic AI / ML | AI活用 | レコメンドを出す「AIエンジン」 |
| システムテーブル / アラート | 監視 | 異常を知らせる「警報」 |
| Asset Bundles / Git フォルダー | CI/CD | 設計図の管理と「本番反映(出荷)」 |
1. エンドツーエンドの処理フロー(データの流れ)
データが「ソース → 倉庫 → 利用者」へ流れる様子。矢印のラベル=その工程を担当する機能です。
- ①〜③がデータエンジニアの主戦場(=認定資格の中心)。生データを段階的に「使える」形へ。
- 各段階は Delta テーブルとして保存されるので、途中からやり直せる/過去に遡れる(タイムトラベル)。
2. 機能同士の連携(誰が誰を動かすか)
処理は勝手に流れません。「監督が指示 → エンジンが実行 → 倉庫に読み書き」 という縦の連携があり、Unity Catalog が全体を横串で監視します。
読み解き方
- Lakeflow Jobs が一番上の「監督」。何を・どの順で・失敗したらどうするかを決める。
- コンピュートが唯一「実際に計算する」場所。Photon で高速化。処理が終われば自動終了してコスト削減。
- Delta Lake が唯一「データが物理的に存在する」場所。
- Unity Catalog はデータを処理する部分ではなく、「触っていいか」を判定し、履歴を残す横串の存在(点線)。
3. 日次バッチ「1回の実行」を時系列で追う
毎晩02:00に何が起きるか、時間の流れで見ます(これが「運用」の実感)。
ポイント
- ⑤「前回以降の新規分だけ」= 増分処理。Auto Loader がチェックポイントで「どこまで読んだか」を覚えているので、毎回全件読み直さない。
- ⑨ 品質チェックで不良データを止められる(例:金額がマイナスの注文を隔離)。ここが「本番運用グレード」の肝。
- 成功なら自動でクラスター停止=使った分だけ課金。失敗ならすぐ人に通知。
4. 障害が起きたときの運用フロー
「アラートが鳴ってから直して本番反映するまで」。ここに 監視・Spark UI・CI/CD が絡みます。
- Repair run = 最初からやり直さず、失敗したタスクから再開できる(時間・コスト節約)。
- コード修正は Git → Asset Bundles で本番反映。手作業で本番を触らない=安全。
5. まとめ:一言でいうと
- 縦の流れ:Jobs(監督)→ Compute(実行)→ Delta(保存)→ SQL/AI(活用)
- 横の見張り:Unity Catalog がすべての工程で「権限・履歴」を管理
- 入口は Auto Loader、加工は宣言型パイプライン、品質は Expectations、運用の安全は CI/CD+監視
この1枚のイメージ(入れる→整える→貯める→使う+見張る)を持っておくと、個々の機能が「全体のどこの担当か」で腹落ちします。
関連
- 機能単体の詳細:../03_associate-materials/00-index.md(Associate 7 セクション)
- 全体像・アーキテクチャ図:databricks-overview.md