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Databricks Free Edition で試験対策する|共通ガイド

Associate / Professional の試験対策を Databricks Free Edition(無料・クレジットカード不要) で行うための共通ガイドです。 セットアップ手順、Free Edition の制約、そして「試験範囲のうちどこが実機で練習でき、どこは座学で補うしかないか」の対応表をまとめています。

具体的な課題は次の 2 ファイルにあります。

参照した公式ページ(2026-07 時点で実読):


1. Free Edition とは

  • 無料で使える Databricks。旧 Community Edition の後継で、Community Edition は 2025 年に廃止されました。
  • サインアップは Free Edition signup ページから、メール OTP / Google / Microsoft サインインのいずれかで完了します(クレジットカード不要)。
  • ワークスペースには サーバーレスコンピュート既定ストレージが最初から付いてくるので、クラスター作成なしですぐノートブックを実行できます。
  • Unity Catalog が有効なので、catalog.schema.object の 3 階層・GRANT・リネージ・ボリュームといった試験の中核をそのまま触れます。

⚠️ 重要な前提: Free Edition は 商用利用不可SLA / サポートなし、長期間非アクティブだとアカウントが削除されることがあります。学習専用と割り切って使ってください。


2. 最初にやるセットアップ(15分)

2-1. 学習用のスキーマとボリュームを作る

Free Edition は 1 ワークスペース / 1 メタストアです。既定のワークスペースカタログの下に、学習用のスキーマとボリュームを作って作業場所を固定します。

sql
-- 自分のカタログ名を確認(Free Edition ではワークスペースカタログが既定)
SELECT current_catalog(), current_schema();
SHOW CATALOGS;

-- 学習用スキーマ(以降 <catalog> は上で確認した名前に置き換える)
CREATE SCHEMA IF NOT EXISTS <catalog>.de_sandbox
  COMMENT '認定試験対策用サンドボックス';

-- ファイル置き場(マネージドボリューム)
CREATE VOLUME IF NOT EXISTS <catalog>.de_sandbox.landing
  COMMENT 'Auto Loader の取り込み元・チェックポイント置き場';

USE CATALOG <catalog>;
USE SCHEMA de_sandbox;

-- 確認
LIST '/Volumes/<catalog>/de_sandbox/landing/';

2-2. 使えるサンプルデータを確認する

Free Edition でも samples カタログが使えます。ハンズオンの入力データはここを起点にするのが最も確実です。

sql
SHOW SCHEMAS IN samples;                 -- nyctaxi, tpch など
SELECT * FROM samples.nyctaxi.trips LIMIT 10;
SELECT count(*) FROM samples.tpch.orders;

注: /databricks-datasets/ は DBFS 上のパスで、サーバーレスでは DBFS アクセスが強く制限されるため読めない場合があります。公式チュートリアルが /databricks-datasets/... を使っていても、Free Edition では samples カタログか spark.range() での合成データに置き換えてください(各課題ではそうしています)。

2-3. SQL ウェアハウスを起動する

Free Edition の SQL ウェアハウスは 1 台・2X-Small 固定です。SQL エディター/ダッシュボード/アラートの課題で使います。


3. Free Edition の制約(アカウント・機能)

区分制約
コンピュートサーバーレス専用。カスタム構成(ノード種別・DBR バージョン・ワーカー数など)は指定不可
SQL ウェアハウス1 台のみ、2X-Small サイズ固定
ジョブアカウントあたり同時実行タスク最大 5
パイプラインパイプライン種別ごとにアクティブ 1 本
ワークスペース1 アカウント = 1 ワークスペース / 1 メタストア
管理アカウントコンソールなし・アカウントレベル API なし・SSO / SCIM なし。認証はメール OTP / Google / Microsoft サインインのみ
言語R は非サポートScala はノートブックで非サポート
モデルサービングGPU エンドポイント・プロビジョンドスループット不可
その他非サポートカスタムワークスペースストレージ、オンラインテーブル、クリーンルーム、レガシ機能、Knowledge Assistant
クォータ超過するとその日(極端な場合はその月)の残り時間、コンピュートが停止する
ネットワークLinkedIn 認証をしていない場合、外向き(アウトバウンド)インターネット通信が制限される
利用規約商用利用不可、SLA / サポート対象外、Marketplace プロバイダーにはなれない

4. サーバーレス専用ゆえの制約(試験対策に直結)

Free Edition はサーバーレス専用なので、サーバーレスコンピューティングの制限がそのまま効きます。試験対策上インパクトが大きいものを抜き出します。

制限試験対策への影響代替手段
Spark UI が使えないProfessional ⑥ / Associate ⑥ の「Spark UI でスキュー・スピル・ステージ・タスクを読む」が実機で練習できない公式が案内するクエリプロファイル(query profile) を使う。判定基準(Max > 75%tile の 50% 増 など)は座学で暗記
RDD API 非サポート(Spark Connect API のみ、SparkContext 不可)RDD を使った演習は不可(試験でも RDD は主題ではない)DataFrame API に集中する(むしろ試験範囲そのもの)
Scala / R 非サポートProfessional ① の「Scala UDF は Python UDF より速い」を体感できない性能順(組み込み > Scala > pandas > 行ごと Python)は暗記。Python UDF vs pandas UDF vs 組み込み関数の差は実測できる
ストリーミングトリガーは AvailableNow()Once() のみProcessingTime / Continuous 不可)継続ストリーミング・固定間隔マイクロバッチの挙動を実機で見られないTrigger.AvailableNow で増分バッチを反復実行して代替。トリガー種別の使い分けは座学
キャッシュ API が例外を投げるdf.cache() / persist() / CACHE TABLE「Spark キャッシュは避ける」の検証ができないディスクキャッシュ/クエリ結果キャッシュの概念は座学
コンピュートポリシー・init スクリプト・コンピュートスコープライブラリ非サポートクラスター構成系の演習は不可ライブラリはノートブックスコープ%pip install)で代替
DBFS アクセスが強く制限/databricks-datasets/dbfs:/ 前提のチュートリアルが動かないことがあるUnity Catalog ボリューム/Volumes/...)とワークスペースファイルを使う
UDF は外部ネットワーク不可・メモリ 1 GB 上限外部 API を叩く UDF の演習は不可UDF のメモリ制限自体は Professional ① の出題ポイントなので、むしろ制約を体験できる
最大実行時間 7 日長期ストリーム運用の演習は不可

5. 試験範囲 × Free Edition での練習可否

Associate(7 セクション)

#セクション実機練習メモ
プラットフォーム基礎⭕ 一部Delta の ACID・タイムトラベル・トランザクションログは全部触れる。クラスター種別(汎用 vs ジョブ)・SQL ウェアハウス 3 種の比較は不可(サーバーレスのみ)
データ取り込みAuto Loader(cloudFiles)・COPY INTO・スキーマ推論/進化・_rescued_data すべて可。ボリュームを取り込み元にする
データ変換・モデリングPySpark / Spark SQL / UDF / MERGE INTO / メダリオン。最重要セクションが丸ごと練習可
Lakeflow Jobs⭕ 一部タスク・依存関係・DAG・cron・リトライ・通知・パラメータ・宣言型パイプライン・Expectations は可。同時タスク 5・パイプライン 1 本の枠内で
ガバナンス(UC)⭕ 一部3 階層・GRANT / REVOKE・ボリューム・マネージド vs 外部の概念は可。外部ロケーション/ストレージ資格情報は自前クラウドが必要で実質不可
最適化・トラブルシューティング🔺OPTIMIZE / ZORDER / 液体クラスタリング / VACUUM / DESCRIBE HISTORY は可。Spark UI 診断は不可 → クエリプロファイルで代替
CI/CD⭕ 一部Git フォルダー・CLI・バンドルの検証/デプロイ/実行は可。dev/prod の別ワークスペース分離は 1 ワークスペースのため不可

Professional(10 ドメイン)

#ドメイン配点実機練習メモ
Python/SQL コード開発22%DataFrame API・ウィンドウ関数・複雑型・高階関数・UDF(Python / pandas / UDTF / UDAF)。Scala UDF のみ不可
コスト・パフォーマンス最適化13%🔺液体クラスタリング・OPTIMIZE FULLVACUUM・ファイルサイズは可。クラスターサイズ/インスタンスファミリ/スポット/プール/AQE 構成変更・Spark キャッシュは不可
データ変換・品質10%Expectations(warn/drop/fail)・隔離・検証テーブル・MERGE 全パターン。データ品質監視はサーバーレス実行なのでクォータに注意
モニタリング・アラート10%🔺SQL アラート・ジョブ通知(メール)・df.observe は可。システムテーブルはアカウント管理者権限前提で制限される可能性が高い(自環境で SELECT * FROM system.information_schema.tables LIMIT 1 を試して判断)
セキュリティ・コンプライアンス10%⭕ 一部行フィルター・列マスク・動的ビュー・タグは可(サーバーレスなので FGAC 要件も満たす)。ABAC の管理タグはアカウントレベル機能のため制限される可能性あり。CMK・ネットワーク系は不可
デバッグ・デプロイ10%🔺バンドル(init/validate/deploy/run/destroy)・Git フォルダー・foreachBatch の冪等化は可。Spark UI 診断・Executor ログ・OOM 再現は不可別ワークスペースへの本番デプロイも不可
データインジェスト7%⭕ 一部Auto Loader・チェックポイント・出力モード・ウォーターマーク・txnAppId/txnVersion・CDF 読み取りは可。トリガーは AvailableNow のみ
データガバナンス7%⭕ 一部カタログ設計・権限継承・BROWSE・リネージ(列レベル)・タグは可。監査ログ/システムテーブルは制限される可能性あり
データモデリング6%SCD Type 1/2・AUTO CDCAUTO CDC FROM SNAPSHOT・CDF。パイプライン 1 本の枠で順に試す
データ共有・フェデレーション5%❌ ほぼ不可プロバイダー側の受信者作成は有料エディション向けとされ、Free Edition では制限される。Lakehouse フェデレーションも接続先外部 DB とアウトバウンド通信が必要。座学(教材+確認問題)で固める

凡例: ⭕ ほぼ練習できる / 🔺 一部のみ / ❌ 実質不可


6. 実機で練習できない範囲をどう埋めるか

Free Edition で触れない領域は、次の 3 点セットで代替します。

  1. 教材の該当節を読む03_associate-materials/ / 04_professional-materials/
  2. 確認問題を解く05_practice-questions/(数値境界・バージョン境界はここで詰める)
  3. 公式ドキュメントの画面キャプチャで代替 — Spark UI のスキュー/スピルの見え方は Spark UI ガイドに実画面の図があるので、それを見て判定基準を覚える

特に暗記で押さえるべき「実機で確かめられない数値」:

項目
スキュー判定Max が 75 パーセンタイルより 50% 以上長い
小さいファイル8 MB を下回らないようにする
ファイルサイズ自動チューニング< 2.56 TB → 256 MB / > 10 TB → 1 GB。自動圧縮 true は 128 MB
AQE 既定値ブロードキャスト切替 30MB / advisory 64MB / スキュー factor 5 かつ 256MB
パーティション設計1 TB 未満は分割しない、分割するなら各 1 GB 以上
VACUUM既定保持 7 日、7 日以上推奨。LITE/FULL は DBR 16.1 以降
液体クラスタリングキーは最大 4、統計は既定で先頭 32 列
行フィルター/列マスク標準 12.2 LTS+ / 専用 15.4 LTS+(書き込みは 16.3+

7. クォータを使い切らないコツ

Free Edition はクォータ超過でその日のコンピュートが止まります。学習効率を落とさないために:

  • ストリーミングは必ず Trigger.AvailableNow で止める。書きっぱなしにしない(そもそも ProcessingTime は使えません)
  • ノートブックを閉じる前に 実行中のストリームを停止する
    python
    for q in spark.streams.active:
        print("stopping:", q.name)
        q.stop()
  • パイプラインは 1 本ずつ。課題が終わったら停止/削除して次の課題へ
  • ジョブのスケジュールは検証後に必ず一時停止する(PAUSED
  • 巨大データは不要。samples.nyctaxi.trips のサブセットや spark.range() で十分に挙動は確認できる
  • 課題が終わったスキーマは片付ける
    sql
    DROP SCHEMA IF EXISTS <catalog>.de_sandbox CASCADE;

8. 進め方

各課題は「目的 → 対応する教材/確認問題 → 手順・コード → 確認ポイント(試験で問われる形)」の構成です。教材を読んだ直後に対応する課題をやるのが最も定着します。


9. 出典

内容リンク
Free Edition の制限(本ファイル 3 章)Databricks Free Edition limitations
サインアップ・同梱内容(2 章)Sign up for Databricks Free Edition
サーバーレスの制限(4 章)Serverless compute limitations
Spark UI 診断(6 章の代替手段)Spark UI ガイド(日本語)

⚠️ Free Edition の制限とクォータは変更されます。「⭕/🔺/❌」の判定は 2026-07 時点の公式記載に基づく見込みなので、自分のワークスペースで実際に試して確かめるのが最終確認です。特に「制限される可能性あり」と書いた項目(システムテーブル、ABAC 管理タグ、Delta Sharing プロバイダー、サービスプリンシパル)は、公式に Free Edition 個別の明記がないため推定を含みます。